特別講座 2019.9.25(水)10:00~12:00 佐久間秀範先生を囲む会~世親について学ぶ
この日のお話は「ヴァスバンドゥ2人説」から始まりました。ヴァスバンドゥ2人説というのは、彼の著作を検証していくと、別人物が書いたものも混じっているとしか思えない。後の時代の仏教徒たちによって偉大な一人のヴァスバンドゥという人物が創作されていったのだろう、実際には、著者は2人いたのだろうという説です。
弥勒から教えを受けたというアサンガ(無著)は、ヴァスバンドゥの実兄と言われるが、それも神話的伝承であろう…ということでした。先生のお話はそこからどんどん展開していきました。
宗教を扱う研究で、神話と史実をどのように区分していくか→あらためて、人間アサンガとヴァスバンドゥについて→唯識学派はなぜ確立していったか→仏教発展史。釈尊から唯識学派の確立まで駆け足→もう一度、唯識学派確立の理由→当時の大乗と上座部の「棲み分け」のあり方→アサンガとヴァスバンドゥはなぜ大乗を研究し始めたのか→説一切有部の思想の概説と、宗教的限界。
ここまでが前半で、後半は来場者の質問に応じながら、「唯識」を漢字で解釈することの落とし穴→ものはあるのかないのか→唯識を理解するための行法の重要性→再び、ものはあるのかないのか→「ある」ことと、概念でものを理解・認識することの違い→執着を問題視するべし→しかし意欲がなくては行もできない→「意欲」と「欲」の違い…というように、花が開くようにお話してくださいました。(実はこれでも3分の1ぐらいです。参加してくださった方に研究者の方がおられた為、残りは学会レベルのお話でした)
唯識の真骨頂といえる「ものはあるのかないのか」のお話から「意欲」と「欲」の違いのお話の時には、 先生の御言葉にも力が入り、聞いている我々も集中して耳を傾けていました。 (加藤)
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佐久間秀範先生を囲む会~世親について学ぶ
日程:9月25日(水)午前10時~12時
講師:佐久間秀範先生 (筑波大学 人文社会系 哲学・思想専攻 教授)