第1回「文化財と信仰」研究会 2020.1.25
2020年 1月25日(土)京都市内の町家スペース「玄想庵」(1次会)「満月の花」(2次会)にて開催いたしました。
以下に、1次会の様子を簡単に報告させていただきます。
会は前半・後半に分けて行いました。前半は、まず木村先生から「文化財の動態展示」(活きた信仰文化を織り込んだ文化財の保存形態と展示法)の必要性についてお話をいただきました。続いて檜山先生から、ヨーロッパにおける博物館の発生の背景やその後の変遷、帝国主義的展示法から動態展示への移行、アメリカの具体例などをお聞きしました。
休憩をはさみ第2部で参加者全員による座談となりました。「日本人と仏像や仏具の関係が、これからどのように変わっていくか」「仏と人との関係が家から個人へと変わって行く時代の、仏師の役割」「仏教者にとって仏像とは何か」「文化財を素材とした宗教教育に期待すること」「文化財修復の理想のあり方」「動態展示について」等々、いつまでも尽きない議論が続きました。
はじめから最後まで、明るく活発な意見交換会になりました。皆様ありがとうございました。心から感謝申し上げます。
参加者のお名前の公表に関して皆様よりお許しをいただきましたので、公開させていただきます。
1 ファシリテーター
木村 良勢(きむら りょうせい)先生
身延山大学国際日蓮学研究所研究員
文化財保存修復学会会員
法華宗真門流 総本山本隆寺 文化財保護部主任
2 ゲスト講師 檜山 智美(ひやま さとみ)先生
京都大学白眉センター/人文科学研究所特定助教
(西域の仏教美術史研究)
ミュンヘン大及びベルリン自由大学にて仏教美術史を学び、ベルリン国立アジア美術館にて5年間研究員として勤務。西域仏教壁画の展覧会キュレーションや保存修復に関わった。亀茲国の石窟寺院の壁画を手掛かりに、当時の仏教文化を復元的に考察する研究に取り組んでいる。
3 ゲスト 岩田 慈観(いわた じかん)師(僧侶)
インド哲学・脳科学の研究を経て出家得度。現在は真言宗単立寺院「青蓮庵」住職。
4 ゲスト 工藤 顕任(くどう けんにん)師(僧侶)
奈良市般若寺(鎌倉期の楼門が国宝に指定されている)
副住職
5 ゲスト 折上 稔史(おりかみ としふみ)師
(仏師)
南都仏師・矢野公祥師に師事。主な作品、修理歴は「八幡円福寺達磨大師(重文)御前立像」「八幡円福寺十一面観世音菩薩像 修復」「岡寺 弘法大師像 新調修復」「不動院不動明王厨子修理」
6 ゲスト 横川 総一郎(よこかわ そういちろう)師(宮大工棟梁)
京都社寺建築 有限会社 匠弘堂 代表取締役
7 ゲスト 橋本 晉彌(はしもと しんや)師(仏師)
京仏師の下、12年間の修行時代に300体あまりの仏像修復を担当。2018年9月に独立し滋賀県野洲市に「橋本工藝」を開く。賓頭盧尊者像、不動三尊像などを製作中。
8 ゲスト 橋本康平様(はしもと こうへい)
(橋本菊商店)
神仏具卸問屋 株式会社 橋本菊商店 役員
京都府仏具協同組合 商部青年会副会長
9 ゲスト 菱田 真梨子(ひしだ まりこ)師
(彩色師)
仏教サロン京都スタッフ。京仏所にて8年間仏像修復の彩色を担当のち、独立。
広島県山県群安芸太田町の善福寺にて、曼荼羅絵解き塗り絵講座を開講。
【呈茶】
10 山口水鴟(やまぐち りゅうた)師
(茶人)
瑞芳菴流茶人
陰瑞窟主宰
【見学者】
11 猪瀬貴子(いのせ たかこ)
(社会人学生)
【コーディネーター】
12 加藤悦子(仏教サロン京都主宰)